平成24年8月7日~10月14日に福岡市博物館 常設展示室にて開催されました。
井上清助(1867~1922)は明治・大正期に活躍した博多人形師で今日の博多人形の名声を築いた功労者のひとり。東京帝国大学教授で人類学者の坪井正五郎らの監修による学校教材「世界人類風俗人形」「日本歴代服飾模型」など独創的な商品を生み出し、カタログ通信販売という当時としては斬新な手法でこれを販売しています。世界の人種や風俗のほか日本の時代装束、武具甲冑、髪型、国宝仏像、さらには伊達政宗や黒田長政といった各地方の英雄にも及び、しかも各標本には坪井らの学術的な解説書がつけられていました。井上式地歴標本はベストセラーとなり、全国の学校や図書館で教材として用いられ、井上と博多人形の名は一躍全国に知られるようになりました。
今回展示され紹介した作品は福岡県福岡高等女学校で社会科の教材として用いられていたもので、ほかにも同様の資料が岡山の金光図書館や東京大学に残っています。
(展示品)
博多人形井上清助奮闘五十年史、世界人類風俗人形、日本歴代服飾模型、日本髪容の標本、世界風俗陶板の65点(そのうち五十年史以外の64点のすべては福岡県立福岡中央高等学校の所蔵(寄託)である
(福岡市博物館 学芸員末吉武史氏から資料および写真提供をして頂きました) |